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売り込まずに売る:B2B投資の本質と組織が目指すべきスタイル

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売り込まずに売る――B2B投資の本質を捉える視点

前回の記事では、「売り込まずに売る」境地を実現するうえでの考え方を概観しましたが、改めてB2Bの購買意思決定を振り返ってみると、顧客企業が“投資”という行動に踏み切る背景には、大きく二つの要素が存在します。一つは、目前の痛みや悩みを解消したいという切実なニーズ。もう一つは、“理想の未来”を手に入れたいという成長ビジョンです。

なかでもB2Bの場合、多くの企業は営利団体である以上、最終的な目的が「売上拡大」「利益増大」につながるかどうかを非常に重視します。もちろん、社会貢献や顧客満足などの三方よしの考え方も重要です。しかし、根底にあるのは「自分たちのビジネスが持続的に伸びるのか?」「この投資が利益に直結するのか?」という問いかけであることを、私たちは見落としてはいけません。結果として、「売り込まずに売る」とは、こうした“企業にとっての理想未来”の達成をサポートする存在として評価されることに他ならないのです。

逆に言えば、押し売り感が生じるのは、相手の現状の課題や将来のビジョンを十分に理解しないまま、「とにかく今、契約を取ること」にのみ注力したときに起きます。顧客が心のどこかで「本当にうちの利益や成長を考えてくれているのだろうか?」と疑問を抱くと、その瞬間に“押し売りあるいはただ売りに来ただけの人”というレッテルが貼られてしまい、関係が長続きしません。そこで大切なのが、相手企業の置かれた状況、たとえば市場でのポジションや自社リソースの限界、競合他社の動向などをリサーチし、彼らが実現しようとしている“未来の絵”を明確に把握することです。

さらに、単に「痛みを取り除きます」だけでなく、「痛みを解消した先にある売上拡大や収益アップを、いかに実現するか」を示すことこそが、B2B営業において“売り込まなくても自然に投資が生まれる”ポイントとなります。これを踏まえて営業担当者や組織全体が動けば、顧客は「今回の提案は、自分たちのビジネスを確実に伸ばしてくれる手段だ」と納得しやすくなり、“自分たちから投資をしたい”という姿勢へスムーズに移行していくでしょう。

今の痛みを解決するだけでは終わらない――“未来の利益”を見据えた提案の重要性

前回の記事では「売り込まずに売る」という大きな方向性を示しましたが、B2B取引の実態を見れば、すべてが“未来志向”の投資というわけではありません。たとえば、工場で稼働する古い機械のメンテナンス部品を買い足さないと生産ラインが止まってしまうケースや、最終製品をつくるための間接資材を確保しなければならない場面など、当面の“痛みや悩み”を優先的に解決する投資は少なくありません。とはいえ、そこで終わってしまうと、取引相手から見て「今回はただの販売行為にとどまった営業」という印象になるでしょう。

しかし、同じ部品提供やメンテナンス契約であっても、“売り込まずに売る”営業マンは、その古い機械を複数年にわたって安定稼働させる視点を提示することで、顧客にとっての“未来の利益”を示唆します。たとえば、定期的な診断ソフトウェアの導入やメンテナンスプランをセットで提案し、故障リスクを軽減するだけでなく、予期せぬ生産ロスを防ぐ仕組みを提案する。また、新機種の導入を検討できるタイミングや、既存機にはない機能をどのように活かせるかも説明することで、単なる“交換部品の調達”が“将来的な投資”として捉えられる可能性を高められるのです。

もちろん、企業によっては短期的に大きな予算を投じるのが難しい場合もあれば、意思決定プロセスに時間がかかる場合もあります。だからこそ、“今すぐの痛みを解消するだけ”で終わらず、その先にある「売上拡大」や「利益増大」へとつながる青写真を提示することが、結果的に顧客から「そこまで考えてくれているなら、長期的に付き合いたい」と評価を得るカギになります。

このように、“売り込まずに売る”というのは、“必要最低限の解決策”だけを提示するのではなく、顧客の将来的な経営目標や業界トレンドまで視野を広げ、“今の痛み”を取り除きつつ“未来における利益拡大”を具体的に示すことにあります。B2Bの投資は、“単発の支出”ではなく“長期的なリターン”を見込んだ経営判断です。だからこそ、目先の課題をカバーするだけにとどまらず、顧客が「この提案が将来の自社成長にも寄与する」と自ら納得できるように働きかける――これがまさに、“売り込まずに売る”ための本質的アプローチだと言えるでしょう。

誰でも言う“未来提案”が空回りしないために──“One more thing”で期待を超える組織文化を創る

「痛みの解決や将来ビジョンの提示なんて、ウチも当たり前にやっていますよ」――そう思われる方は多いかもしれません。

実際、B2B営業において「長期的な視野をもった提案」は、もはや特殊なものではなくなっています。しかし、“期待を超える提案”は本当にできているでしょうか。相手企業が想像している範囲内のアイデアであれば、「まあ確かにいい提案だけど、他社でも同じような内容が聞けるな」と流されてしまうことも多々あります。そこで鍵になるのが、“One more thing(ワンモアシング)”――相手のリクエストを満たすだけでなく、「そこまで考えているのか!」と驚かせる一歩先の提案です。

たとえば、老朽化した設備の置き換えを求めている顧客に対し、新機種の性能や費用対効果を丁寧に説明するだけでは十分とはいえません。相手の想定を超える“One more thing”として、たとえば「現場のオペレーターが求めていた操作の簡素化機能」「将来的にAI分析を取り入れたいという潜在ニーズ」などを先回りして提案できれば、顧客は「自社の課題や未来構想を本当に理解してくれている」と強く感じるはずです。もちろん、こうしたプラスアルファのアイデアを掘り起こすためには、顧客のウェブサイトやSNSの内容、業界ニュース、担当者との雑談まで含め、多角的に情報を集めておく努力が欠かせません。

しかし、この“期待を超える提案”が本当に活きるためには、社内の他部署――たとえばエンジニアリングや製造、サポートチームなど――も含めたワンチームの体制が不可欠です。営業が「こんなすごい機能が追加できます!」と大きく約束したものの、社内のエンジニアが「そんな開発リソースはない」「納期的に無理だ」と言い出せば、せっかくの提案が崩れてしまい、結果的に顧客の信頼を損ねるリスクまで生まれてしまいます。つまり、“売り込まずに売る”と言いながら、“社内体制が整っておらず大ボラを吹くだけ”では、一時的に契約を取れたとしても災いのもとになるのです。

 したがって、営業が“One more thing”を提案する際は、組織全体で実務レベルの実行力を支える文化づくりが肝要となります。たとえば、提案前にエンジニアリングチームとすり合わせの時間を設ける、あるいは製造現場のキャパシティを常時共有できる仕組みを導入し、突然の追加要望にも柔軟に対応できるようにしておく。こうした連携の積み重ねが、「口だけ営業」ではなく「結果を出せる営業」として顧客に認められる基盤になるのです。

 また、こうした文化が浸透していれば、営業担当者も自信をもって「期待を超える提案」を提示しやすくなります。単なる“説明の上手さ”だけでなく、社内リソースや技術的優位性、サポート体制などが実際に伴うことで、顧客との関係はより強固なものへと発展していくでしょう。結果として、「ただのベンダー」ではなく「この企業となら将来の勝ち筋を一緒に作れそうだ」というパートナーとして選ばれるようになるのです。

 「自分たちはすでに顧客の将来を考えている」と思っている方もいるかもしれません。しかし、“One more thing”を実際に形にできているかどうか、そして社内体制がそれを支えられる文化になっているかを、もう一度振り返ってみましょう。顧客の想像を超える提案と実務を提供できる組織こそが、本当の意味で“売り込まずに売る”状態を手に入れ、さらに長期的な信頼と利益拡大を勝ち取れるのではないでしょうか。

“売り込まずに売る”組織づくり──次なるステップへ

ここまで見てきたように、“痛みを解消するだけで終わらない提案”、“One more thing”で顧客の期待を超える取り組み、そして組織全体でその提案を実現する実務力――これらが揃えば、「売り込まなくても顧客が買いたくなる」状態に一歩近づきます。とはいえ、実際にこの仕組みや文化を社内で定着させるのは簡単なことではありません。営業が奔走しすぎればエンジニアやバックオフィスが疲弊し、逆に慎重になりすぎると提案が平凡なまま……そんなジレンマは多くの企業で起こりがちです。

弊社は、まさにこの“売り込まずに売る”状態を実現するための伴走型コンサルティングを得意としています。たとえば、ワークショップで社内のステークホルダー間のコミュニケーションを再設計し、“提案前”からエンジニアやサポート担当がアイデアを出し合える場を作ったり、顧客の目線を多角的に拾うためのリサーチ手法を一緒に整備したり。こうしたプロセスを経ることで、社内の連携が自然とスムーズになり、“One more thing”を形にできる土台が育まれるのです。

また、単なるマニュアル化や研修で終わらず、実際の現場で「どのように顧客を観察し、ディスカッションを重ねて付加価値を発見していくか」を具体的にサポートします。営業だけが張り切るのではなく、経営層・開発・サポートといった各部門が“自分たちの役割”を理解しながら、一つのチームとして顧客の将来を支える組織へと変革を促すのです。結果として、企業全体がウィンウィンの成果を継続的に生み出せるようになり、顧客から選ばれ続けるブランドへと進化していきます。

もし、「自社の営業スタイルは押し売り感が拭えず、もっと自然に案件を獲得したい」「顧客の期待を超える提案をしているはずなのに、いつも上手く形にできない」といった悩みを抱えていらっしゃるなら、ぜひWAKOH&CO.にご相談ください。実践的なアプローチで“一歩先をゆく顧客体験”を実装し、貴社が“売り込まずに売る”組織へと進化する道のりを全力で伴走します。次なるステップへ一緒に踏み出し、顧客にも自社にもプラスとなる未来の営業を実現しませんか。

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この記事を書いた人

K.Komatsuのアバター K.Komatsu Creative Director

WAKOH & CO. 代表取締役
各企業や個人が持つ独自の強みと核心(DNA)を活かし、絶えず変化する世界の中で価値を創造します。和を以て、理想の実現へと導く伴走者として、企業の成長をサポートします。

オートメーション産業、IT産業、アパレル産業におけるセールス、マーケティング、コンテンツ・クリエイションの豊富な経験と実績を持ち、多角的な視点からビジネスの成功を支援します。

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