ブランディングは大企業だけがすべきものではない。中小企業ほど尖ったブランディング戦略が必要。
活動企業の約99%が中小規模企業という欧州からも学ぶことは沢山ある。
以下は、当時日系企業で勤め、なんとなくカタログを作っていた自分に教えてあげたい内容です。
核となるコアメッセージ
ブランドと聞くと、ルイ・ヴィトン、グッチ、ロレックス、アップル、ナイキといった表層的なデザインや意匠を連想してしまうけれど、大事なことは、人々の頭の中で想起連想されるベネフィットのイメージ。
特に企業の場合、その会社は何のために世に存在していて、どんな問題を解決したり、どんな理想世界を実現しようとしているのかという強いコアメッセージから創出された世界観。
その世界観の有無または強弱によって、その他大勢の中から違いを生み出し識別され、古代の烙印や焼印の代わりとなるブランド認識たり得る。
大企業は膨大な予算を用いてテレビや街頭、ネット空間に大々的にイメージ広告を投じることが出来るが、中小企業では同じことは出来ない。膨大な予算がないから、大企業よりも膨大に頭を使って考える。それも大企業のようなイメージ広告のようなものでボヤッとしたものではなく、潜在顧客の心に直接響く何かを建ててどストレートに届ける。
世界観を創るのが上手い欧州企業
彼らは本当に上手。
私は欧州企業の日本法人を立ち上げる過程の中で、彼らの仕事を間近で見てきてたけれど、彼らは本当に世界観を創ることが上手。
オートメーション、自動制御企業という日頃の生活ではなかなか触れることがないB2B企業、技術系企業、地味な企業においても「世界観」を徹底的に考え抜き一貫したメッセージを発し続けている。
大きく、少し雑になってしまい、サンプル数もかなり限られているが、考え方やアプローチ方法が180°というより540°異なるので、参考までに日本のB2B同規模企業、技術系企業、地味な企業と比較してみる。
欧州企業 | 日本企業 | |
核となるメッセージ | 潜在顧客のメリットや利便性 | 自社の技術的優位性 |
入社後すぐ実施されること | 価値観を入れるキャンプとプログラミング | 技術研修、座学と工場見学 |
ロゴ規定 | RGB値、16進数カラーコードともに管理されている | ドキュメント用のロゴファイルのみ管理されている |
プレゼン資料 | 会社として毎年刷新され管理されている | 担当エンジニア、営業任せ、文字が多い |
カタログ | フォント、色、配置に統一性 | その当時に依頼した外注業者任せであるため一貫性が乏しい |
ウェブサイト | ロゴ、フォント、デザイン等が統一され、顧客が得たい情報が詰め込まれている | 製品仕様情報が中心となっており、ストーリー性が少ない |
展示会での資料 | 文字は少なく、対応する営業マンで口頭説明中心 | 文字数を多くし、追って読んでもらう |
デザイン | 文系、デザイナーを入れる又は外注する | 理系の人がそのままやっちゃう |
考え方やアプローチが大きく異なる背景として、多くの日本の中小規模技術企業の場合、その会社が保有している技術を用いて日本の大企業向けに商いをしている機会が多いため、前提条件や共通認識が既に建っている場合も多いため、「そこまで説明する必要ないよね、分かってるよね」という予定調和がある。
それなのに、当時の私のようにカタログを作るとまるで官公庁の発表資料のように文字だらけになってしまう。。
しかし、欧州の多くの中小規模技術企業の場合、自国のマーケットだけではビジネスの市場規模が小さいために初めから欧州他国へ技術を売り込む前提で全てが考えられデザインされている。そのため、価値観の異なる人々や生活背景が少しずれている近隣諸国へ自社の価値を伝えるために、「わざわざそこから説明しなくても」と日本人であれば思うところまでをブランディングの柱としている。
魅せ方を適用せよ
これから益々中小規模の企業でも海外に自社技術や製品を販売しなければならない機会も増えていくことが予測される。積極的に海外に出なければ、国内市場だけではマーケット規模は小さくなる一方で競合他社はそこに居続けるため、販売価格の下げ合いが始まり、お互いがお互いを苦しめる札束の戦いになってしまう。
次なる成長機会を求めて海外に技術を販売し続ける。海外の方々でもわかる「魅せ方」を作りましょう。
- 競合と被らない「色」「コアメッセージ」を建てましょう
- 競合を意識しながら、意識しない。あくまでも意識を向ける方向は潜在顧客へ
- 悪魔を作る。ネガティブキャンペーンはいけないが、既存システムの痛みを炙り出し、解決策を提示する
- プレゼン資料とカタログ資料は一貫性を持つ
- 視認性を高めるためにデザインは文系デザイナーを入れましょう
- 能ある鷹は爪を隠さない(海外では)
- 英語版だけあれば基本世界どこでも大丈夫
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