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B2B企業のためのカスタマージャーニーマップ入門:作成から活用まで

カスタマージャーニーマップについてディスカッションする川上さん、村山マーケティング部長と田中課員
目次

カスタマージャーニーマップの作成に挑戦:川上さんたちの新たな挑戦

ディスカッションするマーケティング田中さんと村山さんそしてSaaV営業の川上さん

前回までのあらすじはこちら

「さて、カスタマージャーニーマップの重要性は理解したけど、実際にどう作ればいいんだろう?」川上さんが、少し困惑した表情で村山部長と田中さんを見渡しました。

会議室には、前回の議論で生まれた新たな決意と、未知の領域に踏み出す緊張感が漂っています。

村山部長が穏やかに微笑みます。「そうだね。理解することと実践することは別物だ。でも、それこそが我々の次なる挑戦になるんじゃないかな。」

田中さんが熱心に発言します。「私、マーケティングの専門書でカスタマージャーニーマップの作り方について読んだことがあります。基本的には顧客の行動と感情を時系列で整理していくんです。」

「なるほど」と川上さんが頷きます。「でも、B2B企業の場合、顧客の行動はより複雑で長期にわたりますよね。展示会での出会いから実際の購入まで、何か月、場合によっては複数年もかかることもある。」

村山部長が同意します。「その通りだ。B2B特有の課題を考慮しないと、実用的なマップにはならないだろうね。」

「それに」と田中さんが付け加えます。「意思決定に関わる人も多いですよね。エンドユーザー、技術評価者、経営層…それぞれの視点を考慮する必要があります。」

川上さんの目が輝きます。「そうか!だからこそ、我々のような専門的なサービスを提供する企業にとって、カスタマージャーニーマップはより重要になるんですね。複雑な購買プロセスを理解し、適切にサポートできれば、大きな差別化要因になる。」

「では、具体的にどう進めていこうか。まずは、典型的な顧客のジャーニーを想像してみるのはどうだろう?」

三人は、ホワイトボードの前に集まり、顧客がどのように彼らの製品を知り、検討し、最終的に購入を決定するのか、そのプロセスを描き始めました。彼らの前には、新たな挑戦と、それがもたらす可能性が広がっていました。

B2B企業におけるカスタマージャーニーマップの重要性

カスタマージャーニーマップ

B2B企業にとって、カスタマージャーニーマップは単なるマーケティングツールではありません。それは、複雑で長期にわたる顧客との関係性を可視化し、最適化するための戦略的な羅針盤です。

B2B取引の特性上、顧客の意思決定プロセスは非常に複雑で、多くの場合、複数の意思決定者が関与します。例えば、技術的な評価者(部門)、エンドユーザー、購買責任者、品質部門、そして最終決定権を持つ経営層など、それぞれが異なる視点と優先事項を持っています。カスタマージャーニーマップは、これらの多様な視点を統合し、包括的な顧客理解を可能にします。

また、B2B取引のサイクルは長期にわたることが多く、初回接触から契約締結まで最短でも半年、時には数年かかることもあります。この長い期間中、顧客は様々な情報源に接し、複数の意思決定段階を経験します。カスタマージャーニーマップは、この長期的なプロセス全体を俯瞰し、各段階で適切なアプローチを計画するのに役立ちます。

さらに、B2B企業の製品やサービスは往々にして複雑で、顧客にとって大きな投資を意味します。そのため、顧客は慎重に情報を収集し、比較検討を行います。カスタマージャーニーマップは、この情報収集と検討のプロセスを詳細に理解し、それぞれの段階で顧客が求める情報や支援を的確に提供するための指針となります。

加えて、B2B企業では、顧客との関係が契約締結後も長期にわたって続くことが多いです。アフターサービス、継続的なサポート、そして将来的な再購入や追加購入の可能性を考慮する必要があります。カスタマージャーニーマップは、この長期的な関係性全体を視野に入れ、顧客生涯価値を最大化するための戦略立案を支援します。

このように、B2B企業におけるカスタマージャーニーマップの重要性は多岐にわたります。それは単に顧客の行動を理解するだけでなく、組織全体で顧客中心のアプローチを実現し、長期的かつ持続可能な事業成長を達成するための不可欠なツールなのです。

B2B特有の課題を考慮したカスタマージャーニーマップ作成ガイド

カスタマージャーニー

B2B企業向けのカスタマージャーニーマップ作成は、その特有の複雑さゆえに独自のアプローチが必要です。まず重要なのは、適切なチーム編成です。営業、マーケティング、カスタマーサポート、製品開発など、顧客接点を持つ各部門から代表者を選出し、多角的な視点を確保しましょう。

次に、適切なデータ収集が重要です。B2B環境では、正式なインタビューよりも日常的な顧客とのやりとりから情報を得ることが効果的です。製品デモ後の質問や、導入後のフィードバックセッションなどから、顧客の意思決定プロセスや考慮点について洞察を得られます。また、営業チームやカスタマーサクセスチームからの情報も非常に有用です。彼らが日々感じている顧客の傾向や懸念点を集約することで、顧客ジャーニーの全体像が見えてきます。

CRMデータの分析も欠かせません。リードの獲得から成約までの期間、主要な接点、よく閲覧されるコンテンツなどのデータから、顧客の行動パターンを推測できます。

これらの情報を基に、B2B特有のジャーニーステージを定義します。認知前、認知、考慮、購入決定、導入、利用、推奨の7段階を基本としつつ、自社の特性に応じてカスタマイズしましょう。各ステージで顧客の目標、行動、感情を詳細に記述し、タッチポイントをマッピングしていきます。

このプロセスを通じて、顧客のペインポイントと新たな機会が浮かび上がってきます。各ステージでの顧客の課題や不満を洗い出し、それらを解決する方法や新たな価値提供の可能性を検討しましょう。

内部プロセスとの連携も重要です。各タッチポイントでの担当部署と責任者を明確にし、部門間の連携ポイントを特定します。情報共有の仕組みを構築することで、シームレスな顧客体験の提供が可能になります。

最後に、各ステージでのKPIを設定し、継続的な検証とアップデートを行うことが大切です。3ヶ月ごとのマップ見直しと、顧客フィードバックの継続的な収集を習慣化しましょう。

なお、WAKOH&CO.では、このプロセスをサポートするカスタマージャーニーマップテンプレートを無料でダウンロードいただけるようにしています。こちらのリンクからアクセスできますので、ぜひご活用ください。

このテンプレートを使用することで、B2B特有の複雑な購買プロセスを効果的に可視化し、最適化するためのカスタマージャーニーマップを作成することができるでしょう。

カスタマージャーニーマップの継続的な活用と更新の重要性

カスタマージャーニーマップの重要性をディスカッションとしている

カスタマージャーニーマップは、一度作成して終わりではありません。B2B市場において、顧客の行動パターンや情報収集方法は絶えず変化しています。かつては展示会や業界誌が主たる認知手段でしたが、現在ではYouTube、ウェブサイト、SNS、オンラインセミナーなど、多様なチャンネルが存在します。そのため、カスタマージャーニーマップは常に見直し、更新していく必要があります。

重要なのは、顧客との接点やタッチポイントを固定概念で捉えないことです。例えば、ある企業ではLinkedInを通じての初期接触が増加している一方で、別の企業では依然として展示会が重要な役割を果たしているかもしれません。このような違いを把握するためには、継続的なデータ収集と分析が欠かせません。

具体的なアプローチとしては、以下のような方法が考えられます:

  1. 定期的な顧客アンケートの実施:
    新規顧客に対し、どのようにして自社を知ったか、どの情報源が決め手となったかを必ず確認します。
  2. セールスチームからの情報収集:
    営業担当者が日々の活動で得た insights を共有する仕組みを構築します。
  3. デジタルマーケティングデータの活用:
    ウェブサイトのアクセス解析、コンテンツの閲覧傾向、リードジェネレーションの成果などを定期的に分析します。
  4. 競合分析:
    業界内での新たなトレンドや競合他社の取り組みを常にモニタリングします。
  5. テクノロジーの進化への対応:
    AIチャットボット、VR展示会など、新しいテクノロジーが顧客接点にどのような影響を与えるかを検討します。

これらの情報を基に、少なくとも四半期に一度はカスタマージャーニーマップを見直し、必要に応じて更新することが望ましいでしょう。

また、部門横断的なチームでこの更新プロセスを行うことで、多角的な視点を取り入れることができます。マーケティング、営業、カスタマーサポート、製品開発など、各部門が持つ顧客接点の情報を統合することで、より精度の高いジャーニーマップを作成できます。

カスタマージャーニーマップの継続的な更新と活用は、変化の激しいB2B市場において、顧客中心のビジネス戦略を維持するための重要なプロセスです。この取り組みを通じて、顧客のニーズや行動の変化をいち早く捉え、適切な対応を取ることができるのです。

カスタマージャーニーマップがもたらすビジネス躍進

成功の鍵はカスタマージャーニー

カスタマージャーニーマップは、B2B企業にとって単なる可視化ツールではありません。それは、ビジネス全体を顧客中心に再構築するための強力な戦略的武器となります。

このマップを活用することで、マーケティング、営業、製品開発、カスタマーサポートなど、あらゆる部門が顧客視点で自らの役割を再定義できます。結果として、部門間の連携が強化され、シームレスな顧客体験の提供が可能になります。

さらに、カスタマージャーニーマップは、新たなビジネスチャンスの発見にも貢献します。顧客の潜在的なニーズや課題を可視化することで、革新的な製品やサービスの開発につながる洞察が得られるのです。

WAKOH&CO.は、このようなカスタマージャーニーマップの戦略的活用をサポートしています。我々の経験と専門知識を活かし、お客様のビジネスに最適化されたカスタマージャーニーマップの作成から、その実践的な活用まで、一貫してサポートいたします。

顧客の視点に立ち、その旅路を深く理解することで、真に価値あるビジネス変革を実現する。それが、WAKOH&CO.の提案する顧客中心のビジネスアプローチです。あなたの企業も、カスタマージャーニーマップを活用した革新的なビジネス戦略に挑戦してみませんか?

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この記事を書いた人

K.Komatsuのアバター K.Komatsu Creative Director

WAKOH & CO. 代表取締役
各企業や個人が持つ独自の強みと核心(DNA)を活かし、絶えず変化する世界の中で価値を創造します。和を以て、理想の実現へと導く伴走者として、企業の成長をサポートします。

オートメーション産業、IT産業、アパレル産業におけるセールス、マーケティング、コンテンツ・クリエイションの豊富な経験と実績を持ち、多角的な視点からビジネスの成功を支援します。

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