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顧客を理解する:顧客のニーズと痛みを知るためのマインドセットとアプローチ

目次

顧客の痛みを知るためのストーリー

川上さんは中堅ソフトウェア企業の営業担当者で、新規顧客開拓が彼のミッション。今回の訪問は、展示会でご興味を頂いた製造業界で大きなシェアを持つA社です。事前にIR情報等でリサーチを行い、A社が抱える可能性のある課題や業界のトレンドを推測した川上さんは、初回訪問の日を迎えました。

A社の本社に到着した川上さんは、緊張しつつも価値創造営業(SaaV: Sales as a Value provider)として自信を持って受付を通過し、会議室に通され事前にアポイントを取っていた生産技術部の高橋部長と対面しました。作業着ジャケットを羽織り、暖色系のレジメンタル・ネクタイと白いシャツの出で立ち。初めての訪問で、川上さんは商品を売り込むのではなく、まずは信頼関係を築くことにフォーカスしました。

「本日はお忙しい中お時間をいただき、ありがとうございます。」と感謝の意を述べた後、川上さんは事前に纏めた業界のトレンドについて話題を振り、自然な流れでHDMI出力のモニターを借用し会社案内からプレゼンテーションを実施し始めました。「最近、様々な業界で変種変量生産が要求されておりますが、一方で生産効率も重要視しなければなりません。御社でもこんなことにお困りではないでしょうか?」

高橋部長は、初対面の川上さんに対して慎重な姿勢を崩さず「うん、まあね。」と、具体的な課題については多くを語りません。しかし、川上さんは高橋部長の言葉の端々や仕草などで製造ラインのボトルネックやシステムの老朽化に関する暗黙の不満を感じ取りました。そこで、川上さんは他の企業での成功事例などを動画を交えながら、具体的な問題解決のアプローチをシェアしました。

「先日、ある製造業のお客様で、多品種生産ラインの効率化プロジェクトを手掛けました。その企業では、製造プロセスの見直しと最新ITシステムの導入により、生産性を30%向上させることができました。御社でも似たような取り組みが役立つかもしれません。」と具体的な事例を挙げ、高橋部長の関心を引きました。

このように、川上さんは高橋部長に具体的な価値を提供する姿勢を見せることで、徐々に胸襟が開きました。部長は川上さんの話に耳を傾け、具体的な課題についての議論が始まりました。川上さんは、決して御用聞き営業をせず、問題解決のための具体的なステップや提案を提示することで、高橋部長に対して信頼感を築き、次のステップへ進む機会を得たのです。

新規顧客へのアプローチでは、まず相手の信頼を得ることが重要です。川上さんのように、事前のリサーチと具体的な成功事例を活用することで、初対面でも顧客のニーズや痛みを引き出し、効果的な提案を行うことができます。

準備がすべて:潜在顧客の理想像を実現するアプローチ

顧客の理想像を実現するためには、初回訪問前の徹底的な準備が鍵となります。この準備段階での努力が、信頼関係の構築と効果的な提案に直結します。ただ並列に仕事を進める観点からも時間は限られています。以下のポイントを押さえた準備を行うことで、潜在顧客の理想像を明確にし、その実現に向けたアプローチを確立します。

ステップ1: 徹底的なリサーチ

まず、顧客企業とその業界について徹底的にリサーチします。業界のトレンドや市場の変化、競合他社の動向などを把握することで、顧客が直面する可能性のある課題やニーズを予測します。例えば、企業の公開されているIRレポートやニュース記事、業界分析レポートを活用して情報を収集します。この情報は、初回のミーティングでの会話の糸口となり、信頼を築くための基盤となります。上司はこのリサーチに投じた時間を認識し、なるべくこの経験を生かせるように同業他社への展開を検討されたい。

ステップ2: 仮説の構築

リサーチ結果を基に、顧客が抱えている可能性のある課題や目標について仮説を立てます。例えば、「この企業は型変え時間の短縮と生産性向上を目指しているのではないか?なぜなら・・」といった具体的な仮説を構築します。仮説を持って臨むことで、会話をリードし、顧客のニーズを深堀りするための質問を効果的に行うことができます。

ステップ3: 戦略的な質問リストの作成

顧客の理想像を引き出すためには、戦略的な質問が必要です。リサーチと仮説を基に、「現在のプロセスで最も改善したい点は◯◯のプロセスでしょうか?」や「今後、IRレポートの目標に対して〇〇のようなサポートが必要だと思うのですが、如何でしょうか?」など、具体的な質問を用意します。これらの質問は、顧客の現状と理想像のギャップを明確にするための重要なツールとなります。

ステップ4: 提案資料の準備

顧客に対する提案を効果的に行うために、具体的な資料を準備します。例えば、過去の成功事例やデータに基づいたソリューションのプレゼンテーション資料を作成します(ただし、2−3時間も資料作成に時間を投じてはNG。過去に使った資料や本社マーケティング部が作成した資料などを流用)。これにより、顧客は自社の課題に対する解決策を具体的にイメージすることができます。

ステップ5: フォローアップの計画

初回ミーティング後のフォローアップも重要です。ミーティングで得た情報をもとに仮説と検証を実施し、実際の顧客のニーズに合った提案を再構築し、具体的な次のステップを計画します。フォローアップの連絡を迅速に行い、継続的な関係構築を目指します。その間、セミナー等を開催しているのであれば案内をする。

このように、初回訪問前の徹底的な準備を行うことで、顧客の理想像を明確にし、その実現に向けた効果的なアプローチを行うことができます。準備が成功の鍵であり、信頼関係を築くための最初の一歩です。

顧客に興味を持って接する価値創造営業(SaaV: Sales as a Value provider)の基本姿勢:与えることから始まる

顧客の理想像を実現するためには、まず顧客に対して真摯に興味を持ち、信頼関係を築くことが重要です。価値創造営業(SaaV: Solution as a Value provider)の基本姿勢として、単に製品やサービスを売り込むのではなく、顧客の問題を解決し、価値を提供することに焦点を当てます。

まず、顧客に対して役立つ情報を提供することから始めましょう。例えば、世界や業界の最新トレンドや他社の成功事例、具体的なソリューションの導入効果などを共有することで、顧客にとって有益なパートナーであることを示します。この情報提供は、顧客にとっての価値を高め、信頼を得るための重要なステップです。

また、顧客との対話を重視し、彼らのニーズや課題を理解することに努めます。具体的な質問を通じて、顧客が抱える問題を引き出し、それに対する解決策を提案します。このプロセスを通じて、顧客は「この人と話して良かった」と感じるでしょう。

顧客に対して与える姿勢を持つことで、信頼関係が築かれ、長期的なビジネスパートナーシップが形成されます。顧客が感じる価値を最大化し、持続的な関係を構築することが、価値創造営業の基本姿勢です。

結論として、顧客に対して興味を持ち、価値ある情報を提供し、信頼関係を築くことが、成功への鍵となります。このアプローチを実践することで、顧客との強固なビジネス関係を築き、ビジネスの成功に繋げることができるでしょう。

ご相談や詳細については、WAKOH & CO.の個別コンサルティングサービスをご利用ください。

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この記事を書いた人

K.Komatsuのアバター K.Komatsu Creative Director

WAKOH & CO. 代表取締役
各企業や個人が持つ独自の強みと核心(DNA)を活かし、絶えず変化する世界の中で価値を創造します。和を以て、理想の実現へと導く伴走者として、企業の成長をサポートします。

オートメーション産業、IT産業、アパレル産業におけるセールス、マーケティング、コンテンツ・クリエイションの豊富な経験と実績を持ち、多角的な視点からビジネスの成功を支援します。

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