MENU
Language

新規潜在顧客訪問における重要ポイント:価値創造営業の秘訣

目次

名古屋における新規潜在顧客の訪問ストーリー

朝焼けに染まる名古屋の巨大なビル群が次第に近づいてくる中、川上さんは新幹線の窓からその景色を眺めつつPCで本日打ち合わせの最終資料確認を行っている。

前回までのあらすじはこちら

朝焼けに染まる名古屋の巨大なビル群が次第に近づいてくる中、川上さんは新幹線の窓からその景色を眺めつつ、手元のPCに目を落とした。何度も新規訪問へのシミュレーションを頭の中で繰り返す。資料の中の数字やグラフ、提案内容が、まるで脳裏に焼き付くように鮮明になっていく。しかし、心の奥底には拭えない緊張感が漂っていた。

名古屋駅に到着すると、太閤口で信夫課長が待っていた。信夫課長はいつもと変わらぬ落ち着いた表情で、川上さんに向けて微笑んだ。「おはよう、今日は川上さんのステージですね。自信を持って臨みましょう!」その一言に川上さんは勇気をもらい、二人は朝露を払ったばかりの冷えたレンタカーに乗り込み顧客のオフィスへと向かった。

潜在顧客の大きな工場の敷地内にある本社棟エントランスに到着し、受付を済ませ、エレベーターに乗り込む。上昇するエレベーターの中で、川上さんの心拍数は徐々に上がっていく。ドアが開き、会議室に足を踏み入れると、X社の開発部長、松田氏が厳しい目つきで待ち構えていた。技術部長の佐藤氏、開発課長の山本氏も同席している。彼らの視線が川上さんに突き刺さるように感じた。

「おはようございます。今日は朝早くから貴重なお時間を頂き、ありがとうございます!」

名刺交換を済ませ、川上さんは、深呼吸をして、70インチのディスプレイを拝借しプレゼンテーションを開始した。最初は順調だった。スライドが進むにつれ、自身の準備が完璧であることを確認しながら、説明を続けた。しかし、その瞬間が訪れた。

「それで、君たちの技術が、我々の長年の製造プロセスにどんな利点をもたらすつもりなのか?具体的な例を挙げて説明してくれ。」松田部長の鋭い声が会議室に響き渡った。彼の眼差しは挑発的で、まるで川上さんの覚悟を試すかのようだった。

川上さんは一瞬、頭の中が真っ白になった。しかし、すぐに対抗するように説明を試みた。「ええ、もちろんです。先ほど説明差し上げたように、我々のコンピューティング技術を貴社の製造ラインに導入することで、品質管理の精度を劇的に向上させ、不良品の発生を大幅に削減します。また、生産効率の改善により、コスト削減と市場競争力の強化が図れます。」

しかし、松田部長の視線は一層鋭くなった。「具体的に何に関して、どのように?数字と実績を示してくれないか。我々の技術とどうシナジーを生み出すのか、具体的な例をもっと具体的に説明してほしい。」

川上さんは再び戸惑ったが、その時、信夫課長がすかさずフォローに入った。

「松田部長、御社のご経験と技術力について本当に素晴らしいものと思っております。今回の提案は、貴社の製造プロセス効率性を飛躍的に向上させるために、我々のテクノロジーを組み合わせるご提案です。具体的なシナリオとしては、我々なりに調査してこの後のスライドに用意しておりますが、実際には貴社の製造ラインを見学させていただき、皆様のお困りごとやお悩み、ボトルネックとなるプロセスをお聞かせ頂ければと思っております。その上で、貴社にフィットする最適なコスト削減案と市場競争力の強化について再提案させて頂ければと持っておりますが、いかがでしょうか。」

信夫課長は冷静かつ柔和な態度で対応し、その場の空気を和らげた。「そして、この提案は貴社の長年の知識と経験を活かし、共に成長するためのものです。お互いにとって有益な時間を過ごすために、ぜひ松田部長からもご意見をお聞かせください。」信夫課長の言葉に、松田氏の表情も徐々に和らいでいった。

川上さんは信夫課長のリーダーシップに感銘を受け、ミーティングの進行を見守りながら、自身の成長を実感した。緊張とプレッシャーの中で学んだことは、彼にとって大きな財産となった。

実践的なテクニックと信夫課長のフォローアップ

川上さんと信夫課長は、潜在顧客の大きな工場の本社棟エントランスに到着し、受付を済ませ、エレベーターに乗り込む。上昇するエレベーターの中で、川上さんの心拍数は徐々に上がっていく。

新規顧客訪問で成功を収めるために必要な実践的なテクニックには、細心の注意と戦略的な対応が求められます。信夫課長と川上さんがX社でのプレゼンテーションで実際に駆使したテクニックと、その結果を見ていきましょう。

信夫課長が最も大切にしていたのは、相手の立場を尊重することです。松田部長の長年の経験と業績に対し、心から敬意を表すことが信頼関係の構築には不可欠でした。信夫課長は、松田氏の発言に耳を傾け、その技術的な背景を深く理解しようと努めました。これにより、松田氏も次第に心を開き、建設的な議論が可能になりました。

訪問中に発生する質問や反論に対して、迅速かつ的確に対応する能力も重要です。川上さんが一瞬戸惑った時、信夫課長はすかさずフォローに入りました。本来であれば、川上さんはこの新規潜在顧客訪問は一人で訪問するべきアカウントステータスです。しかし、少し営業スランプに陥っていた川上さんを気遣った信夫課長が同行していた為、信夫課長の冷静かつ論理的な回答で、その場を切り抜け打合せを建設的な方向へ持って行くことができました。川上さんがどれだけここから学べるかが成長の鍵となります。

また、プレゼンテーションの柔軟な調整も必要不可欠です。事前に準備したプレゼンテーションに固執し、そのまま進めるのではなく、相手の反応に応じて内容を柔軟に調整することが求められます。(必要に応じてプレゼン資料を切り替える)信夫課長は、松田氏の反応を見ながら説明の焦点を微調整し、相手が最も関心を持つポイントを強調しました。これにより、会議全体がスムーズに進行しました。

営業現場では、時折挑発的な態度や質問に直面することがあります。川上さんが松田氏の挑発に一瞬戸惑った際、信夫課長は冷静に対応し、相手を尊重しながらも毅然とした態度で対処しました。こうした対応により、会議の進行を妨げることなく、建設的な議論を続けることができました。

訪問後も継続的にコミュニケーションを取り続けることが、顧客との信頼関係を築くために重要です。会議の後にフォローアップのメールや電話を通じて、X社との関係を深める努力を続ける必要があります。

訪問後のフォローアップ:価値創造営業の次のステップ

新規潜在顧客の前で緊張しながらプレゼンテーションをする川上さん

新規顧客訪問は、B2Bビジネスにおいて重要な第一歩ですが、一回の訪問で成約に至ることは稀です。川上さんと信夫課長のX社訪問も、初回の顔合わせと試し合いの場であり、今後の関係性を築くための重要なステップでした。この訪問で彼らが実施したことは、価値創造営業の基本を押さえたものでした。

価値をお届けする

初回訪問の目的は、相手にとっての価値を明確に伝えプレゼントすることです。川上さんと信夫課長は、自社の最新技術がX社の製造プロセスにどのようなベネフィットをもたらすか、具体的な事例を交えて提案しました。「我々の技術は、品質管理の精度を劇的に向上させ、不良品の発生を大幅に削減します。また、生産効率の改善により、コスト削減と市場競争力の強化が図れます。」といった説明を行い、相手に具体的なメリットを理解させました。ここに具体的な数字が入っているとより説得力のあるご提案が可能です。

現場視察

訪問顧客が製造業の場合には、必ず初回訪問の際に、製造現場の視察を依頼し、事前に了承を得る必要があります。実際の製造プロセスを理解することで、より具体的で潜在顧客の現場に最適な提案を行うための基盤を築くことが出来ます。具体的でない提案は「絵に描いた餅」となってしまうからです。それぞれの企業にはそれぞれの状況があります。それを外部の視点から認識するお手伝いをすることも価値創造営業の重要なタスクとなります。

予算とスケジュールの確認

さらに、初回訪問では予算の確保状況と意思決定のスケジュールを確認することが重要です。ミーティングの終了時には、X社内での意思決定プロセスについて概要をヒアリングし、今後の進め方について具体的なスケジュールを確認する必要があります。例えば、「次回の提案に向けて、予算の確保状況と意思決定のスケジュールについてお伺いしたいのですが、どのようなタイムラインを想定されておりますか?」と質問し、相手のスケジュール感を把握することが重要です。

フォローアップの重要性

訪問後すぐに、川上さんは感謝のメールを送りました。メールでは、訪問の機会をいただいたことへの感謝を述べ、会議で話し合った要点と次回日程について確認する必要があります。

「本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。ご提案内容に関するご意見、ご質問をお伺いし、大変参考になりました。次回の会議では具体的な提案をさせていただければと思います。」

また、Sグループには直接電話をかけ、訪問後の感想や追加の質問がないかを確認します。これにより、メールでは伝えきれなかったニュアンスや細かい点についても話し合うことができ、より深いコミュニケーションが可能となります。

継続的なコミュニケーション

訪問後のフォローアップを通じて、継続的なコミュニケーションを維持することが顧客との信頼関係を築く鍵となります。定期的に進捗状況を報告し、X社との関係を深める努力を続け、双方にとって有益なパートナーシップを築くことを目的とします。

訪問後のフォローアップは、初回訪問で得た情報をもとに、次のステップへとつなげるための重要なプロセスです。初回訪問は始まりに過ぎず、今後の関係性と相互理解の向上が最も大事であることを忘れずに行動することが成功の鍵です。

成功への鍵は継続的な努力と関係構築

新規潜在顧客が待つ会議室へ向かう信夫課長と川上さん

B2B営業において、初回訪問はあくまでスタートラインに過ぎません。川上さんと信夫課長がX社で実施したように、継続的な努力と関係構築が成功への鍵となります。初回訪問後のフォローアップを通じて、双方の理解を深め、信頼関係を築くことが最も重要です。

具体的には、訪問後の感謝のメールや電話によるフォローアップだけでなく、定期的な進捗報告や次回の訪問計画の確認が必要です。これにより、顧客とのコミュニケーションを維持し、相手のニーズや課題に対する適切な対応が可能になります。また、予算の確保状況や意思決定のスケジュールを把握することで、次回の提案がより具体的で実現可能なものとなります。

さらに、現場視察で得た情報を基にカスタマイズされた提案を行うことで、相手に対する価値提供が明確になります。これにより、顧客の信頼を得ることができ、長期的なパートナーシップを築くための土台が整います。

継続的な努力と関係構築を通じて、営業活動の成功率を高め、顧客との強固な関係を築くことができるのです。このようなプロセスをサポートするのがWAKOH & CO.の役割です。私たちは、効果的な営業支援とクリエイティブなコンテンツ制作を通じて、顧客のビジネス成長をサポートします。WAKOH & CO.の提供するサービスは、単なる営業支援に留まらず、顧客との関係を深め、成功へと導くための包括的なサポートを提供します。

読者の皆さんも、これらのポイントを実践して、価値創造営業の真髄を体感していただければと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

K.Komatsuのアバター K.Komatsu Creative Director

WAKOH & CO. 代表取締役
各企業や個人が持つ独自の強みと核心(DNA)を活かし、絶えず変化する世界の中で価値を創造します。和を以て、理想の実現へと導く伴走者として、企業の成長をサポートします。

オートメーション産業、IT産業、アパレル産業におけるセールス、マーケティング、コンテンツ・クリエイションの豊富な経験と実績を持ち、多角的な視点からビジネスの成功を支援します。

コメント

コメントする

目次