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潜在顧客との信頼構築: 価値創造営業の次なるステップ

目次

フォローアップメールからWeb会議へ

前回までのあらすじはこちら

川上さんは、信夫営業課長のアドバイスを受け、展示会で得たSグループとAグループの担当リストに対し、異業種におけるソフトウェア導入の成功事例を基にした情報提供メールを送りました。村山さんおよびマーケティング部から得た情報を活用し、個別にカスタマイズされたメールを送ることで、先ずは相手にとっての価値をしっかりと伝えることにフォーカスしました。

直ぐに複数のアカウントから「情報提供ありがとうございます」という趣旨の返信を受け取りました。特にSグループの顧客に対して、川上さんは迅速に次のステップを進めるため、メール署名にある携帯番号に連絡を差し上げました。

「早速のご返信ありがとうございました。展示会では弊社ブースにお越しいただきありがとうございました。」

「こちらこそ、早速のフォローありがとうございます。」

「メールでお伝えしたように、異なる業種ではありますがソフトウェア・アプリケーション導入事例がございます。こちらのお客様は弊社システム導入後、生産性が約30%向上し、属人化が解消されたというレポートも出てきております。香川さんの業務および経営的側面でも効果があると思っております。おもしろい事例ビデオもあります。ぜひ一度ご紹介させていただければと思いますが、如何でしょうか?」

「ええ、ぜひ。まずはWeb会議でも良いです。遠方ですしね。」

「承知しました。では来週の火曜日の午後13時頃のご都合如何でしょうか?」

「あと一点、事前にお伺いしたいのですが、展示会では課題に対し、来期でのご予算を組まれているとのことですが、現在もそれらを変わらずご検討中でしょうか?」

「そうですね。来期に向けて動いています。」

川上さんは、この顧客が他社からの情報も得ている可能性を考慮し、競合他社との差別化を図るため、プレゼンテーションの準備を始めました。

まず、川上さんはメールの内容を元に、相手が求める具体的なソリューションを整理。展示会で得たコンタクトレポート情報や村山さんからのアドバイスを元に、相手の業界特有の課題やニーズに対する解決策を具体的に示すプレゼン資料になるよう、マーケティング部が作成してくれた公式セールスプレゼンテーションキットへいくつかの補足をしました。今回は「守破離」を忠実に守る方向性です。また、異業種での成功事例や業界トレンドのデータを交えて、相手にとってのメリットを明確に伝えることを心掛けました。

初動の重要性と迅速なフォローアップ

Sグループの顧客は予算化されており、ソリューションを探している状態です。このような顧客に対して、初動を迅速に行うことは非常に重要です。川上さんは、展示会後に早急にフォローアップを行うべきだったことに気づき、反省しました。予算化されている顧客は、具体的な解決策を求めており、タイムリーに価値を提供することが求められます。

顧客のニーズに対し迅速に対応することで、他社よりも早く信頼関係を築くことができます。展示会後のフォローアップでは、以下のステップが重要です。

1. 迅速な連絡: 展示会後すぐに顧客に連絡を取り、感謝の意を伝えるとともに、具体的なフォローアップの内容を確認します。展示会で得た情報を元に、顧客の課題やニーズに応じたメッセージを送りましょう。

2. 価値ある情報の提供: 顧客の課題やニーズに応じた価値ある情報を提供し、関心を引き続けます。例えば、異業種での成功事例や業界トレンドのデータ、具体的な解決策を示す資料などを提供することで、顧客にとってのメリットを明確に伝えます。

3. 次のステップの提案: 次のステップとして、具体的な提案やミーティングの設定を行います。例えば、Web会議でのプレゼンテーションや、さらに詳細な情報提供を行う機会を提案しましょう。

このような迅速かつ効果的なフォローアップを行うことで、顧客との信頼関係を強化し、成約へと繋げるファーストステップとなります。川上さんはこの教訓を胸に、次回のフォローアップに臨むことを決意しました。

価値創造営業(Sales as a Value provider)による価値提供の具体例

SaaV営業の基本理念は、顧客に対して価値ある情報やソリューションを提供することです。川上さんは、展示会で得た情報をもとに、以下のような価値提供を行うことができます。

1. 異業種の成功事例: 川上さんは異業種における成功事例を紹介できます。例えば、ある製造業の企業が自社のソフトウェアを導入した結果、生産性が30%向上し、属人化が解消された事例を共有。このような具体的なベネフィットを示すことで、顧客は自身の課題解決に向けた具体的なイメージを持つことができます。

2. 業界トレンド: 川上さんは、自社が所属する業界の最新トレンドや技術動向を提供できます。例えば、最近のサブスクリプションビジネスの台頭や、使用重量に応じた課金制度など、新しいビジネスモデルの導入事例を紹介。顧客にとっては、自社の業務にどのようにこれらのトレンドを取り入れるかを考えるきっかけとなります。

3. 競合他社との差別化: 競合他社との違いや、自社製品の優位性を明確に伝えることも重要です。川上さんは、自社製品が他社製品と比較してどのような点で優れているかを具体的に説明できます。例えば、ユーザーインターフェースの使いやすさや、カスタマーサポートの充実度などを強調することで、顧客の信頼を得ることができます。

4. 海外のトレンド提供: 海外の展示会で得た最新の情報やトレンドも重要な価値提供の一部です。川上さんは、海外市場における先進的な事例や新しい技術動向を紹介することも出来るでしょう。これにより、顧客は日本市場だけでなく、グローバルな視点での成長戦略を考えるきっかけを得ることができます。特に、日本市場が人口減少により縮小していく現状を踏まえると、海外市場の動向を知ることは非常に重要です。

また、対面またはWeb会議でのミーティングにおいて、次の点を確認することが重要です。

課題や痛みが明確かどうか: 顧客が抱える具体的な課題や痛みを明確にし、その解決に向けたソリューションを提案します。例えば、生産性の向上やコスト削減といった具体的な成果を見せることが効果的です。

予算化の進行状況: 課題解決に向けた予算がどの程度進んでいるかを確認し、適切なタイミングで提案を行います。予算の有無やタイミングを把握することで、顧客に最適な時期にアプローチできます。

経営課題や組織の意思決定者の確認: 経営層がどのような課題を重要視しているかを把握し、意思決定者に対して直接アプローチできるようにします。組織の意思決定プロセスを理解することが重要です。

提供できる価値の具体的な説明: 提案するソリューションがどのように顧客の課題を解決し、どのような価値を提供するのかを具体的に説明します。具体的な事例やデータを用いることで、説得力を高めます。

これらのステップを踏むことで、顧客に対して具体的で有益な価値提供を行い、信頼関係を築くことができます。

宿題を持ち帰り、他社を含めた総合的な検討状況を確認する

展示会後のフォローアップでは、顧客とのミーティングを通じて、顧客の課題やニーズを深く理解し、次のステップを明確にすることが重要です。特に以下の点については気をつけたいところです。

  1. 宿題の持ち帰り: ミーティング後、顧客からの具体的な質問や要望を宿題として持ち帰り、迅速に対応します。これにより、顧客の信頼を得ることができます。具体的な例として、顧客が求める追加のデータや、より詳細なテクニカルに関する質問(全部の質問に無理やり100点の回答を目指さなくても良い!それが次の接点にもなる)、そしてそれらにもとづいたソリューション提案を迅速に提供することで、プロフェッショナルな姿勢を示します。
  2. 他社との検討状況: 顧客が他社からの提案を受けている場合、その内容を確認し、自社の提案がどのように差別化できるかを検討します。川上さんは、「他社と比較して、弊社の提案がどのように優れているか」を明確に示すために、独自の強みや成功事例を具体的に提示する必要があります。
  3. 継続的なフォローアップ: ミーティング後も定期的にフォローアップを行い、顧客との関係を強化します。マーケティング部と連携し、SグループとAグループにフォーカスしたフォローアップ体制を構築します。例えば、定期的なニュースレターや業界トレンドのレポートを提供することで、顧客との接点を維持し続けます。

展示会後のミーティングを通じて、顧客の状況やニーズを再評価することが重要です。SグループからAグループに再評価されるアカウントや、その逆もあります。これらの不確定要素を柔軟に取り扱い、常に最適な価値提供を心がけることが、価値創造営業(SaaV: Sales as a Value provider)の成功に繋がります。特に、顧客のニーズが変化する中で、迅速に対応する姿勢が求められます。

WAKOH&CO.では、顧客理解と最適なタイミングでの価値提供をサポートするサービスを提供しております。展示会後のフォローアップやマーケティング部との連携に関するご相談も承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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この記事を書いた人

K.Komatsuのアバター K.Komatsu Creative Director

WAKOH & CO. 代表取締役
各企業や個人が持つ独自の強みと核心(DNA)を活かし、絶えず変化する世界の中で価値を創造します。和を以て、理想の実現へと導く伴走者として、企業の成長をサポートします。

オートメーション産業、IT産業、アパレル産業におけるセールス、マーケティング、コンテンツ・クリエイションの豊富な経験と実績を持ち、多角的な視点からビジネスの成功を支援します。

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