展示会改革への提言 – 川上さんの問題提起
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展示会の定例会議。いつもと変わらぬ、和やかな雰囲気の中、川上さんの言葉が静かに波紋を広げました。
「村山部長、田中さん、来期からは展示会への考え方を変えるべきだと思うんです。」
普段は少し早とちりの川上さんの、真剣な眼差しに、村山マーケティング部長と田中さんはハッとさせられました。田中さんはマーケティング部の若手ホープとして、今回の展示会で初めて中心メンバーとして参加。
「なぜそう思うんだい、川上さん?」
村山部長の問いかけに、川上さんは少し緊張しながらも、はっきりと答えました。
「これまで何度も展示会のお手伝いをしてきましたが、いつも似たようなお客様しかブースに来場されていない気がするんです。もっとSaaSやソフトウェアの展示会だけでなく、お客様が出展している業界ごとの展示会にも出展すべきではないでしょうか?」
会議室は静まり返りました。誰もが川上さんの言葉の意味を理解し、その視線の先にある未来を想像していたのです。
「なるほど、それは興味深い視点だね。」
村山部長は、川上さんの意見に深く頷きました。そして、過去の展示会を振り返り、
「確かに、マンネリ化している部分はあるかもしれない。毎年同じような展示会に出展し、同じようなお客様にアプローチしているだけでは、新たな顧客開拓は見込めない。」
と、現状への危機感を口にしました。田中さんも川上さんの意見に同意し、
「展示会は、もっと戦略的に活用できるはずです。ターゲットとする顧客層や目的に合わせて、出展する展示会やアプローチ方法を変えるべきだと思います。」
と、自身の考えを述べました。
川上さんの言葉は、展示会に対する新たな視点をもたらし、会議は活発な議論へと発展していきました。
相反する二つの力、展示会で一つに – 営業とマーケティングのシナジー
村山部長は、川上さんと田中さんの意見を聞きながら、展示会成功の鍵は「営業とマーケティングの協力」にあると改めて認識しました。しかし、それは決して簡単なことではありません。
「本来、営業とマーケティングは、ある意味で相反する存在です。マーケティングは、効率的な仕組みで顧客を獲得し、営業を不要にすることを目指します。一方、営業は、顧客との直接的な関係を築き、マーケティングの施策だけではカバーできない複雑なニーズに応えることで、自らの存在価値を示します。」
村山部長は、両者の間に存在する緊張感を認めながらも、展示会においては、この二つの力がシナジーを生み出すことができると信じています。
「マーケティングは、展示会への集客やリード獲得、ブランド認知度向上など、展示会全体の成功に不可欠な役割を担います。一方、営業は、展示会で獲得したリードを具体的な商談に繋げ、最終的に成約に導く役割を担います。」
展示会は、マーケティングと営業が互いの強みを活かし、協力することで、初めて成功を収めることができるのです。
「展示会は、いわば両チームの共同プロジェクトです。マーケティングが作り上げた『舞台』の上で、営業が最高の『パフォーマンス』を披露する。その結果、お客様に感動を与え、我々のファンになっていただく。これが、私たちが目指す展示会成功の姿です。」
村山部長は、熱意を込めて語りかけました。川上さんと田中さんも、その言葉に深く頷き、展示会成功に向けて協力することを誓い合いました。
「展示会は、私たちにとって、新たな顧客との出会いを創出する絶好の機会です。マーケティングと営業が力を合わせ、最高の展示会を作り上げましょう。」
村山部長は、二人の決意を確かめ、具体的な戦略の立案へと話を進めました。
展示会出展の目的を明確化 – 惰性での出展はNG
「なぜ、この展示会に出展するのか?」
村山部長は、ホワイトボードに大きくそう書き込みました。
「去年出展したから今年も出展する、そんな惰性での出展は絶対に避けなければなりません。展示会出展には多大なコストがかかります。だからこそ、その投資に見合うだけの成果を上げるためには、目的を明確にすることが不可欠です。」
村山部長は、展示会出展の目的を以下の3つに分類しました。
- 新規顧客獲得: 新規顧客との接点を増やし、リードを獲得することを目的とする。
- 既存顧客との関係強化: 既存顧客との関係を深め、アップセルやクロスセルにつなげることを目的とする。
- ブランド認知度向上: 自社の製品やサービスの認知度を高め、市場でのプレゼンスを強化することを目的とする。
「これらの目的は、必ずしも一つに絞る必要はありません。複数の目的を組み合わせることも可能です。しかし、それぞれの目的を達成するために、どのような戦略が必要なのかを明確にする必要があります。」
田中さんは、村山部長の言葉に深く頷きながら、
「目的が曖昧なまま展示会に出展しても、効果的なアピールはできません。ターゲットとする顧客層や、彼らが抱える課題に合わせて、展示内容やアプローチ方法を最適化する必要があります。」
と、付け加えました。
川上さんも、自身の経験を踏まえ、
「展示会は、顧客の生の声を聴き、ニーズを把握する絶好の機会です。しかし、目的が明確でなければ、貴重な情報を収集することもできません。」
と、発言しました。
三人は、展示会出展の目的を深く掘り下げ、具体的な目標設定へと議論を進めていきました。
展示会ゴール設定 – 曖昧な目標は失敗の元、定量化とKGI/KPIの設定
「展示会の目的を達成するためには、具体的なゴールを設定することが重要です。」
村山部長は、ホワイトボードに「展示会ゴール」と書き込みました。
「ゴールは、定量的な数値で設定することが望ましいです。例えば、『新規顧客獲得数〇〇件』『商談数〇〇件』『売上目標〇〇円』など、具体的な数値目標を設定することで、展示会の成果を測定しやすくなります。」
田中さんは、KPI(重要業績評価指標)の重要性について補足しました。
「KGI(重要目標達成指標)を設定したら、それを達成するための具体的なKPIを設定する必要があります。例えば、KGIが『新規顧客獲得数50件』であれば、KPIとしては『ブース来場者数1000人』『名刺交換数300件』『商談設定率10%』などが考えられます。」
KPIを設定することで、展示会準備の進捗状況を把握しやすく、目標達成に向けた具体的なアクションプランを立てやすくなります。
川上さんは、過去の展示会データを参考にしながら、具体的なKPIを提案しました。
「前回の展示会では、来場者数は多かったものの、商談設定率が低かったという反省点がありました。今回は、来場者数を維持しつつ、商談設定率を向上させることをKPIの一つに設定してはいかがでしょうか?」
村山部長は、川上さんの提案に賛同しました。
「それは良いアイデアだが、前回と同じ展示会に出展する設定になっているじゃないか。さらに、展示会後のフォローアップもKPIに組み込み、商談から成約への転換率を高めることも目指しましょう。」
三人は、展示会ゴールとKPIについて議論を重ね、最終的な目標設定については、出展する展示会を決定した上で、より具体的な数値を定めることになりました。
村山部長は、川上さんと田中さんに、
「次回の会議までに、それぞれが考える最適な展示会とその理由をまとめてきてください。具体的な来場者数や見込み顧客数、過去の類似展示会の実績などを考慮し、KGIとKPIの設定に繋がるような提案を期待しています。」
と伝え、今回の会議を締めくくりました。
展示会は未来への投資 – 具体的な戦略で最大限の効果を
展示会は、単なる一時的なイベントではありません。それは、企業の未来を左右する重要な投資です。だからこそ、展示会への出展は、綿密な計画と戦略に基づいて行われるべきです。
今回の会議では、川上さん、田中さん、村山部長の三人が、展示会に対する新たな視点と熱い想いを共有しました。
過去の成功体験にとらわれず、変化を恐れずに挑戦すること。
営業とマーケティングが一体となり、それぞれの強みを活かし合うこと。
そして、具体的なゴールとKPIを設定し、その達成に向けて全力を尽くすこと。
これらの要素が、展示会成功の鍵となります。
WAKOH&CO.は、これまでの豊富な経験と実績を活かし、具体的な展示会候補とその理由について議論し、最終的な目標設定を行います。そして貴社の展示会成功をサポートいたします。
展示会は、企業の未来を拓くチャンスです。WAKOH&CO.と共に、新たな展示会戦略に挑戦し、最大限の効果を手に入れましょう。
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