展示会が終わっても、仕事は終わらない ── 翌週月曜のレビューから、半年・1年後の案件化まで

展示会後に分類を確かめ、半年・1年後の案件化まで追う運用を示す表紙

展示会場で付けた分類を、そのまま営業の指示にしてはいけません。

私は展示会のあと、必ず翌週の月曜日に2〜3時間をかけて、コンタクトレポートを一枚ずつ見直します。B&Rの日本法人では営業とマーケティングを統括する責任者として、独立してからは支援先の会社で、ずっと続けてきたことです。

名刺が何枚集まったか。会場がどれだけにぎわったか。その記憶だけでは、次の出展も、別の展示会との比較も判断できません。何を確かめ、どう判断し、その後どうなったか。それが残っていて、初めて次の仕事に使えます。この記事では、展示会のあとにやるべきことを、順番に書きます。

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翌週の月曜日に、2〜3時間かけて見直す

月曜日のレビューに集まるのは、営業とマーケティングの主要メンバーだけです。インサイドセールスや、外部に委託しているチームは入れません。あとで彼らに判断と思いを正しく伝えるために、まず中心のメンバーで固めておくのです。

なぜ月曜日なのか。人の記憶は、すぐに曖昧になります。正直に言えば、月曜日でも遅いくらいです。ブースが混み合った時間の記録は、どうしても短く、断片的になります。誰と、どんな流れで、どんな表情で話したのか。それを思い出して書き足せるうちに、他の仕事より先にこの時間を押さえて、実行します。

月曜日に分類が固まれば、お礼のメールを早く送れます。相手はそのメールで、ブースでの会話を思い出してくれます。そのうえで、前提を知ったインサイドセールスが連絡し、状況を確かめ、最適な提案につなげる。この順番を崩さないために、月曜日なのです。

会場での記録の書き方は、出展前の記事で整理しました。月曜日は、その記録を責任者の目で読み直す場です。私がレビューで必ず問うのは、次の三つです。

  • それは、相手が言ったことか:担当者の手応えと、相手の言葉は違います。「前向きだった」ではなく、相手が何と言ったのかを確かめます
  • 分からないことを、分からないまま残しているか:聞けなかったことが、推測で埋められていないかを見ます。埋まっていたら未確認に戻し、保留にします
  • この分類で、次の人は動けるか:記号を見ただけで、インサイドセールスが最初の一言を決められるか。決められないなら、足りない文脈を責任者がその場で書き足します

責任者は、紙のレポートに判断の理由と、次に確かめることを書き込みます。確定した分類と、誰が対応するのかを、その場で決めます。

出展前の準備、責任者による仮分類の見直し、最終集計の保存、確定分類での対応、半年・1年後の検証から次回へ返す流れ
図 出展前の準備から、責任者の確認、記録、後日の検証まで

別のチームに渡すなら、なおさら丁寧に

この見直しが一番効くのは、展示会のあとの対応を、別のチームが担う場合です。インサイドセールス、別の部署、あるいは外部の委託先。彼らは会場にいませんでした。手元にあるのは、紙に書かれた情報だけです。

展示会のあとの仕事は、リレーです。前の走者が正しい情報を襷に込めなければ、次の走者はどこへ向かって走ればいいのか分かりません。「A」という記号だけを渡されたインサイドセールスは、何を話せばいいのか分からないまま電話をかけることになります。それでは、相手にも失礼です。

受け取る側にとって、コメントは最初の一言になる

責任者が紙に思いまで書く理由は、出展前の記事に書きました。ここでは、それを受け取る側から見てみます。たとえば、こんなコメントです。

展示会の前から、自社で答えを探していた相手。急かさず、まず今の状況を聞いてほしい。

インサイドセールスにとって、この一行は最初の一言を決める手がかりになります。ただし、やることは押すことでも、待つことでもありません。相手がいま何に困っているのか、pain・need・wantを確かめ、それに合った提案をすることです。

相手も、展示会から自分の現実に戻っています。トラブルに向き合っているかもしれません。会議の最中かもしれません。優先度の高い判断の途中かもしれません。そこへ電話をかけて、こちらの都合に付き合わせるのは筋違いです。一度展示会で名刺を交わしただけで、なれなれしくしてほしくない。相手の側にそういう気持ちがあるのは、当然のことです。

だから、相手の時間を尊重します。冷たく応じられても、それは事実としてCRMに残すだけです。タイミングが合わないなら「また来週、改めますね」と伝えるか、提案だけをお渡しして、失礼します。

最終の分類と集計を、記録に残す

レビューが終わったら、Sが何件、Aが何件、B・C・Dがそれぞれ何件だったのか。保留は何件あるのか。この最終集計を、展示会ごとに残します。記録として残すのは、少なくとも次の項目です。

  • 展示会の名称と開催日、対象のコンタクトレポート
  • 会場での仮の分類と、その根拠になった会話
  • 確定した分類、据え置き・変更の理由、未確認のこと
  • 判断した責任者と、判断した日
  • 分類ごとの件数と保留の件数、何を1件と数えたか
  • 誰が、何を、いつまでにやるか

紙の原本とコメントを残したまま、比べるのに必要な項目だけを台帳に移す。紙をスキャンして記録にひも付ける。どちらでも構いません。大事なのは、集計の数字と、責任者が紙に残した判断がつながっていることです。

あとの面談で状況が変わったら、分類も見直します。そのときも、最初に確定した分類は消しません。変えた理由と時点を書き足します。そうすれば、展示会の直後にどう見ていた相手が、その後どう動いたのかを、あとからたどれます。

確定した判断から、次の対応を始める

営業が動き出すのは、責任者が分類と対応の方針を確定してからです。会場でSを付けたから、担当者の判断だけで提案を始める。BやCを付けたから、そのまま一斉配信に入れる。この順番が逆になると、月曜日のレビューが後追いになります。

分担の一例を挙げます。SとAは営業が検討を進め、BとCはマーケティングが関心に合う情報を届けます。具体的な相談が生まれたら、その記録ごと営業に渡します。専任のマーケティング部がなくても、誰がその仕事を引き受けるかは決められます。Dと確定した相手は、営業の追いかけの対象から外します。

会場で「資料を送る」「いつまでに回答する」と約束した相手には、レビューを待たずに約束を守ります。約束した回答を返すことと、確定前の分類で新しい営業を始めることは、別の話です。

半年後、1年後に、案件化を確かめる

展示会の直後の分類は、その後を確かめるための出発点です。その展示会で生まれた接点から、半年後にどれだけの案件が生まれたか。1年後にはどうなっていたか。どの分類から案件が進んだのか。ここまで追って、初めて会場の手応えと、その後の仕事のつながりが見えます。

比べるときは、三つをそろえてください。

  1. 何を「案件」と数えるか。 名刺交換、資料送付、面談、具体的な検討の開始を、同じ1件として混ぜません
  2. 展示会からの経過期間。 1年たった展示会と、1か月しかたっていない展示会を、同じ土俵で比べません。半年同士、1年同士で見ます
  3. 重複と、以前からの接点。 同じ案件を二重に数えていないか。展示会で新しく生まれた案件なのか、以前から進んでいた案件なのかを分けます

あとから進んだ案件を、すべて一つの展示会の成果にしてしまうと、次の判断を誤ります。Webの記事やAIへの相談から来場した人、展示会のあとにWebやAIで調べ直してウェビナーに進んだ人。その経路も記録し、展示会が何をつなぎ、その後に誰がどんな仕事をしたのかを合わせて見ます。

次の展示会を、前回の記憶で決めない

名刺が多かったから、次も同じ展示会に出る。案件が少なかったから、展示会選びを間違えた。どちらも、記憶だけで決めた判断です。

展示会の目標は、会社の段階で変わります。装置を実機で見せるために8〜10小間を出す会社と、小さなブースで十分なソフトウェアの会社では、比べるものが違います。だから、他社の数字や前回の印象ではなく、出展前に自社で決めた目標に対して、どこまで進んだかで判断します。狙った相手に会えていたか。会場での判断は、その後の動きと合っていたか。人や資料や時間が足りずに、検討を前に進められなかったのではないか。会場での接点と、その後の仕事の両方から、直す場所を探します。

出展前に目的と目標を定め、コンタクトレポートを用意する。会場では仮の分類を付ける。翌週の月曜日に、責任者が判断と思いを紙に書き、次の担当へ渡す。確定した判断から動き、半年後と1年後に確かめる。その結果を、次の展示会と、会社全体の伝え方に返す。担当者が変わっても、この流れが続くようにする。それが、私の考える展示会の仕組み化です。

まず、直近の展示会のレポートを開いてみてください

出展前に何を定めていたか。責任者は、どこを見て分類を確定したか。そのコメントと思いは、次の担当に渡っているか。半年後、1年後に、何を見れば案件化を確かめられるか。

出展前の設計については、コンタクトレポートを事前に設計する記事に書きました。私が使っているコンタクトレポートの雛形(Word)も、無料でお配りしています。

コンタクトレポートの雛形を開く(Googleドライブ)

展示会と六工程の考え方は、メールマガジン『回路』でもお届けしています。

レビューの基準や役割から整えたい場合は診断・実行設計へ。台帳やCRMの設定、メールや資料の制作、日々の記録に手が足りない場合は、実装パートナーで必要な仕事を組み合わせます。


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この記事を書いた人

K.Komatsuのアバター K.Komatsu 代表取締役 | 売れる仕組みの設計者

WAKOH&CO. 代表取締役
各企業や個人が持つ独自の強みと核心(DNA)を活かし、絶えず変化する世界の中で価値を創造します。和を以て、理想の実現へと導く伴走者として、企業の成長をサポートします。

オートメーション産業、IT産業、アパレル産業におけるセールス、マーケティング、コンテンツ・クリエイションの豊富な経験と実績を持ち、多角的な視点からビジネスの成功を支援します。

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