2026年8月、同じ質問を4つのAI(ChatGPT・Gemini・Perplexity・Claude)に投げた。
挙がった会社名は、エンジンごとに全く違った。そして2つのエンジンは、社名を一社も出さなかった。
以下は、その実測の記録である。
何をしたか
投げた質問は、一つだけである。
BtoBで営業を強化しても売上が伸びない場合、相談できる支援会社は
同じ文言を、同じ日に、4つのエンジンへ投げた。追加の指示は与えていない。検索条件も絞っていない。買い手が実際に打つであろう言葉を、そのまま打った。
なぜこの質問かというと、B2Bの買い手が営業支援会社を探すとき、最初に打つ言葉に近いと考えたからである。かつては検索エンジンに打ち込んでいた言葉だ。それが今、どこへ向かっているのかを確かめたかった。
結果
| エンジン | 社名を出したか | 挙がった会社数 |
|---|---|---|
| Perplexity | 出した | 6社 |
| Claude | 出した | 10社 |
| ChatGPT | 出さなかった | ── |
| Gemini | 出さなかった | ── |
同じ質問である。それでも、返ってきたものの性質が二つに割れた。

発見1 ── エンジンは二種類に分かれる
Perplexityは、6社を表にして並べた。会社名、向いている状況、支援の焦点。そして各社の公式サイトへのリンクが添えられていた。
Claudeは、10社を挙げた。ただし並べ方が違った。「ボトルネック別」に分類し、実行リソースが足りない場合はここ、リードの母数が問題ならここ、という形で提示した。
一方、ChatGPTとGeminiは、社名を一つも出さなかった。
ChatGPTは「営業・マーケティング・商品設計・価格・顧客導線まで横断して見られるコンサルティング会社」という類型で答えた。Geminiは「営業コンサル・営業代行」「BtoBマーケティング支援」「カスタマーサクセス支援」「事業開発・PMF支援」という四つの支援会社タイプを表にして返した。
つまり、指名で答えるエンジンと、類型で答えるエンジンがある。
これは、企業側から見ると重要な差になる。「AI検索で自社が見つかるか」という問いは、実は単一の課題ではない。
指名型のエンジンで挙がらない理由は、知られていないことである。
類型型のエンジンで挙がらない理由は、そもそもその分類が存在しないことである。
打ち手が違う。前者は引用されるだけの情報を持つことだが、後者は自社が属するカテゴリそのものを作ることになる。
発見2 ── 重なったのは3社だけ
社名を出した二つのエンジンを比べる。Perplexityが6社、Claudeが10社。合計16の枠がある。
両方に登場したのは、3社だけだった。
残りは片方にしか出ていない。つまり、エンジンによって「この業界の顔ぶれ」の認識が違う。
これは、測定の設計に直結する。一つのエンジンで自社の順位を確認して、出ていたから安心する、あるいは出ていないから対策する、という判断は成り立たない。たまたま、そのエンジンがそう認識していただけかもしれないからだ。
一つのエンジンの結果は、市場の実態ではない。そのエンジンが持っている世界像である。
発見3 ── AIが指摘してきた構造
回答の中に、思いがけないものがあった。ある一つのエンジンが、聞いていないことを書いてきたのである。
支援会社は、ほぼ例外なく自社が売っているものを課題として診断する。営業代行に相談すれば商談数が足りないと言われ、マーケティング支援ならリードが足りないと言われ、研修会社ならスキルが足りないと言われる。そういう趣旨だった。
供給側の利害から、診断が歪むという指摘である。
私はこれを読んで、自分の経験と照合せざるを得なかった。
私はこれまで、15社23事業部以上で「売上を伸ばしてほしい」という相談を受けてきた。言い方はさまざまだったが、指さされる先はいつも同じだった。営業である。
そして実際に中へ入り、売上が生まれるまでの道筋を一つずつたどっていくと、営業の力が原因だった会社は、一社もなかった。
ゼロである。
これは私にとっても意外な結果だった。そして正直に書いておくと、私自身も最初の見立てを何度も外している。相談を受けた時点では、まず営業力の強化から入ろうとした案件がいくつもある。中に入って、現場の数字と会話を見て、それから見立てを変えている。
つまり、誤診は買い手だけの問題ではない。売り手も、最初は同じ場所を見ている。
発見4 ── 紹介会社が、支援会社と並んだ
社名を挙げたエンジンの回答には、営業支援会社に混じって、人材紹介・顧問マッチングのサービスが並んでいた。プロ人材を事業に参画させる形の会社である。
支援会社と、人を紹介する会社が、同じ質問の答えとして並列に置かれていた。
買い手から見れば、これは自然なことかもしれない。課題を解決したいのであって、それが会社の形で来るか、人の形で来るかは二次的な問題だからだ。
ただ、供給側から見ると意味が変わる。自社が「支援会社」として認識されているのか、「人材の供給源」として認識されているのかは、単価にも関係性にも直結する。
AIの回答は、市場が自社をどう分類しているかを映している。
ここから何が言えるか
三つある。
一つ。AI検索での可視性は、一つのエンジンでは測れない。 挙動が二種類に分かれ、顔ぶれの重なりも小さい。複数エンジンで同時に測って、初めて位置が分かる。
二つ。測るべきは社名の出現だけではない。 類型で答えるエンジンでは、社名は出ない。そこで見るべきは、自社の記事が引用元として使われているかどうかになる。
三つ。結果は、その会社が市場でどう認識されているかの鏡になる。 これが最も重要だと考えている。
三つ目について補足する。
別の実験で、ある産業用資材のメーカーについて同じことをやった。「この分野のメーカーは」という広い問いでは、そのメーカーは7番目に出た。国内大手の後ろである。ところが、用途を絞った狭い問いに変えると、大手2社と並んで3番目に出た。
同じ会社である。問いが変わっただけで、位置が変わった。
これは露出の問題ではない。立ち位置の問題である。広い土俵では埋もれ、狭い土俵では認識されている。どちらで戦うかは、AI対策の話ではなく、誰に何を売る会社なのかという話になる。
売れる仕組みには、六つの工程がある。定める、集める、育てる、決める、広げる、返す。
AI検索での可視性は「集める」の最上流にあたる。
だが、そこで返ってくる結果を読むと、たいてい「定める」の答え合わせになっている。
補足 ── 自社の結果
この4回の測定で、WAKOH&CO.は一度も挙がっていない。
社名で検索しても、同名の他社に埋もれる。営業支援の文脈では、認識されていない。
これは自社の起点データとして記録している。
今後、何を変えて、どう動いたかを、同じ方法で測り続けるつもりである。
ひとつだけ、興味深いことがあった。
回答の末尾で、二つのエンジンが、聞いてもいないのに「営業コンサルティング会社と名乗るより、売上が生まれる仕組みそのものを再設計する会社と名乗るほうが強い」という趣旨のことを書いてきた。
AIも私を通じて学習している。
それは、席は空いている、ということかもしれない。座っていないだけで。
本記事は2026年8月時点の実測に基づく。AIの回答は日々変化するため、同じ質問でも結果は異なる可能性がある。

