営業を増やしても、売上が伸びないのはなぜか

売上を伸ばす

売上が伸びないとき、多くの会社はまず営業を増やします。人を採り、展示会に出て、CRMを入れる。それでも数字が動かない会社を、私は何社も見てきました。

理由ははっきりしています。買い手は今、営業に会う前にAIで調べ、候補を絞っています。売上が生まれる流れのどこかが詰まっていれば、営業をいくら強くしても届きません。この記事では、その詰まりの見つけ方を書きます。

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買い手は、会う前にAIで調べている

B2Bの買い手は、営業に会う前に調べ終えています。今はその相談相手がAIです。困りごとを打ち込み、返ってきた答えの中から候補を絞ります。答えに出てこない会社は、比べられる前に外れます。

私は自分の会社で確かめました。AIに「WAKOH&CO.はどんな会社か」と尋ねると、返ってきたのは「動画や展示会をプロデュースするコンサルタント」という説明でした。いま取り組んでいる、売上の流れを設計する仕事は、答えの中心にありませんでした。外に出ている情報が古いままだったのです。

AIは、外に出ている言葉から答えをつくります。何ができる会社なのかが、買い手の困りごとと結びついた言葉で外に出ていなければ、候補には挙がりません。これは営業の腕では解けない問題です。

12社のうち、営業が原因だった会社はなかった

私は22年間、15社23事業部で売上をつくる仕事に関わってきました。そのうち記録として整理できているのが12社です。12社のうち11社が、自社の課題を「営業が弱い」と診断していました。調べてみると、営業が原因だった会社は一社もありませんでした。

これは12社で見た事実です。営業が原因になる会社はない、という意味ではありません。ただ、「営業が弱い」という診断は、多くの場合、別の場所の詰まりが営業の数字に表れた結果でした。見込み客が入ってこない。入ってきても育てる仕組みがない。決めるための材料が届いていない。どれも、営業担当を増やしても直りません。

売上は、六つの工程でできている

売上は、営業一人の手から生まれるものではありません。六つの工程でできています。

売れる仕組みの六工程 売れる仕組みは、定める・集める・育てる・決める・広げる・返すの六つの工程でできている。上段が他動詞、下段が自動詞。定める↔定まる、集める↔集まる、育てる↔育つ、決める↔決まる、広げる↔広がる、返す↔返る。仕事は他動詞、結果は自動詞。六工程は一度きりではなく循環する。 THE SIX PROCESSES 売れる仕組みの六工程 他動詞 自動詞 010203 040506 定める集める育てる 決める広げる返す 定まる集まる育つ 決まる広がる返る 循環に返す THE NEXT CYCLE 仕事は他動詞。結果は自動詞。 WAKOH & CO. 売れる仕組みの六工程 定める・集める・育てる・決める・広げる・返すの六工程。左が他動詞、右が自動詞。仕事は他動詞、結果は自動詞。六工程は循環する。 THE SIX PROCESSES 売れる仕組みの六工程 他動詞自動詞 010203 040506 定める集める育てる 決める広げる返す 定まる集まる育つ 決まる広がる返る 循環に返す 仕事は他動詞。結果は自動詞。 WAKOH & CO.
売れる仕組みの六工程(くわしくは六工程の解説)
  1. 定める:自社は、誰の、どんな痛みに応える会社なのか。ここが決まらないと、以降の工程はすべて空回りします
  2. 集める:見込み客が入ってくる経路をつくる。今は、買い手がAIに相談する場面も経路の一つです
  3. 育てる:接点を、検討に変える。個人の相性ではなく、会社として価値を伝え続けられるか
  4. 決める:買い手が決めるための材料が届いているか。決めた先の価値を理解してもらえているか
  5. 広げる:導入したあと、顧客の何が変わったかを確かめ、別の用途や部門にも価値を届ける。一度売って終わりにしない
  6. 返す:顧客の成果や、うまくいかなかったことを、次の価値づくりへ返す。学びを社内で共有し、許諾を得た実績を外へ伝える

六つの工程は、部署の名前でも、買い手が必ず通る順番でもありません。自社のどこが詰まっているかを確かめるための地図です。「返す」は次の「定める」につながり、工程は輪になって回ります。どこか一つが詰まると、他をいくら強くしても売上は流れません。営業の強化が効かないのは、詰まりが営業以外の場所にあるからです。

詰まりは移動する。だから、まず測る

一つの詰まりを直すと、次の詰まりが別の工程に現れることがよくあります。見込み客が集まり始めると、今度は育てる仕組みの無さが目立ちます。だから、一度直して終わりではありません。どこが詰まっているかを、自社で測り続けることが要ります。

測るといっても、難しいことではありません。たとえば「定める」なら、次の問いに答えてみてください。

自社は「誰の、どんな痛みに応える会社か」を、社内の3人が同じ言葉で説明できますか。

答えが人によって違うなら、そこが最初の詰まりです。答えられない問いが出てきても、埋めようとしなくて構いません。答えられない場所が、御社の詰まっている場所です。

売るのは、会社の仕事だ

誰もがAIで調べる時代には、買い手が最初に出会うのは営業担当ではありません。会社が外に出している言葉です。そこから先も、集める、育てる、決める、広げる、返すの流れを、会社としてつないでおく必要があります。売るのは、営業一人の仕事ではなく、会社の仕事です。

この考え方と、六つの工程それぞれの詰まりを自社で測るための問いは、拙著『売るのは、会社の仕事だ。 AI時代、買い手に選ばれる六工程』にまとめました。製造業・SaaS・テック系B2Bの経営者と事業責任者に向けて書いています。

『売るのは、会社の仕事だ。 AI時代、買い手に選ばれる六工程』表紙
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この記事を書いた人

K.Komatsuのアバター K.Komatsu 代表取締役 | 売れる仕組みの設計者

WAKOH&CO. 代表取締役
各企業や個人が持つ独自の強みと核心(DNA)を活かし、絶えず変化する世界の中で価値を創造します。和を以て、理想の実現へと導く伴走者として、企業の成長をサポートします。

オートメーション産業、IT産業、アパレル産業におけるセールス、マーケティング、コンテンツ・クリエイションの豊富な経験と実績を持ち、多角的な視点からビジネスの成功を支援します。

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